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「世帯所得が過去最大の伸び」の裏側——平均のワナと、増えても楽にならない理由

皆さん、こんにちは。

 

 

本日の日経新聞朝刊で、こんなニュースが報じられました。2024年の世帯平均所得が575万2000円となり、前年より7.3%増加。この伸び率は、1986年の調査開始以来で最大とのことです(厚生労働省「国民生活基礎調査」より)。

「過去最大の伸び」と聞くと、景気の良い話に思えます。でも、この数字を見て「うちはそんなに増えた実感はないけれど……」と首をかしげた方も多いのではないでしょうか。

 

実はその違和感、とても正しいものです。今日はこのニュースを、FPの視点から2つの角度で読み解いてみます。

その1:「平均」は、あなたの実感とズレる

 私がお客様にお金の話をするとき、必ずお伝えしていることがあります。それは「平均」という数字に振り回されないでください、ということです。

 

 なぜならば、平均は一部の大きな数字に引っ張られる性質があるからです。たとえば、ごく一部の非常に所得の高い世帯があると、その数字が全体の平均をぐっと押し上げてしまいます。結果として、「平均」は多くの人が実際にいる水準よりも高く出やすいのです。

 

 

これを示す、わかりやすいデータがあります。少し前の2023年の所得の調査(前回公表分)では、平均所得金額は536万円でした。ところが、所得を低い順に並べてちょうど真ん中にくる人の額——これを「中央値」といいます——は410万円だったのです。そして、平均の536万円に届かない世帯が、全体の約62%を占めていました。

 

 つまり、6割以上の世帯が「平均以下」なのです。「平均所得」と聞いて自分がそれより下だと感じても、落ち込む必要はまったくありません。むしろ、それが多数派なのですから。

 

このように、平均だけを見るとお金の実像を見誤ります。ご自身の家計を考えるときは、平均ではなく「わが家の手取りはいくらか」という具体的な数字で見ることが大切です。

その2:額が増えても、「買う力」は増えていないかも??

 もう一つ、見逃せない視点があります。それは「額面の金額」と「実際に買えるものの量」は別だ、ということです。今回、世帯所得は過去最大の伸びを見せました。それでも、額そのものは30年前のピーク——1994年の664万円——にまだ届いていません。つまり、長い目で見れば、日本の世帯所得は今も昔の水準を回復しきっていないのです。

 

 さらに重要なのが、この間の物価の上昇です。ご存じの通り、ここ数年は食品を中心にあらゆるものが値上がりしています。仮に給料の額面が5%増えても、その間に物価が5%以上上がっていれば、実際に買えるものはむしろ減っている計算になります。

 

この「額面(名目)」と「買う力(実質)」の差を意識しないと、「所得は増えたはずなのに、なぜか生活は楽にならない」という、多くのご家庭が今まさに感じている感覚の正体が見えてきません。数字の上では増えていても、実質的な豊かさが伴っているとは限らないのです。

 

では、家計としてどう向き合うか

 

 こうしたニュースと上手に付き合うために、3つのことを意識してみてください。

 

①平均に一喜一憂しないこと

世の中の平均より上か下かではなく、「わが家の収入と支出のバランス」だけを見ればよいのです。

 

②手取りベースで考えること

額面の年収ではなく、税金や社会保険料を引いたあとの「実際に使えるお金」で家計を組み立てることが、地に足のついた家計管理につながります。

 

③物価上昇を前提に備えること

現金で置いておくだけではお金の価値は物価上昇のぶん目減りしていきます。増えた収入の一部を、NISAなどを活用して実質的な価値が目減りしにくい形で持つことも、これからの時代の選択肢の一つです。

 

数字に振り回されず、わが家の軸を持つ

 

 ニュースの大きな見出しは、ときに実態と違った印象を与えます。大切なのは、その数字が何を意味しているのかを正しく読み解き、自分の家計という「足元」を見ることです。

平均や世間の数字ではなく、ご自身の家計の実質に目を向ける。その姿勢こそが、物価高の時代をしなやかに乗り切るコツだと感じています。

「うちの家計、平均と比べてどうこうより、実際どうなの?」と思われた方は、ぜひ一度ご相談ください。

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※本記事は2026年7月時点の報道・情報に基づいています。所得金額は厚生労働省「国民生活基礎調査」に基づき、平均575万2000円は2024年の所得(2025年公表)、中央値410万円・平均536万円は2023年の所得(前回公表)の数値です。

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